なぜ、コクヨとバトン?
スクラムを組んで目指す、地域課題の創造的解決
野崎:対談のはじめに、改めてではありますが、コクヨさんの会社の起源を伺ってもいいですか。
黒田:コクヨという会社は、1905年に創業し、洋式帳簿の「表紙」を作る会社としてスタートしました。当時は薄い紙を貼り合わせて厚表紙を作る技術が普及しておらず、そのニーズに応えるために創業者が会社を立ち上げ、紙製品を作り始め、お客さんのニーズを感じて便箋や文房具へと広がっていきました。

文房具の事業を拡げていく過程で、今度は全国の文具店さんとのお付き合いが始まったんですね。様々なニーズが寄せられたことで、僕の祖父である二代目社長が「オフィス家具も求められている。やってみよう!」と打ち出し、オフィス家具に参入して。当時は紙製品を作っている工場さんに、鉄を使った家具づくりへの転換をお願いしたケースもあって、みんなで頭を下げてお願いしたという伝説が残っているほど、大きな転機でした。
その後、個人向けの製品の展開や、オフィス家具だけでなく空間のデザインをするようになって。お客様のニーズやお困りごとにあわせて、ピボットし続けるといいますか。学ぶや働く、新しいニーズに応え、新しい体験を作ろうとした先に、今の姿があるなと思っています。
野崎:僕は幼い頃から、キャンパスノートに絵ばかり描いていましたけど、コクヨさんのプロダクトって、小さな頃からずっと関与しているんですよね。「学ぶ」「働く」というシーンに限らず、”ゆりかごから墓場まで”じゃないけど、ずっと生活の横に寄り添ってくれている。いわば、インフラに近いような感覚。ものを通じて、生活者がどうしたら豊かに暮らせるかを考え、実践し続けてこられた会社だと思います。

我々PASS THE BATONやスマイルズは、コクヨさんと規模こそ異なりますが、自分たちが世に感じる「なんでこうなっちゃうんだろう?」というある種の「お困りごと」からスタートした事業やブランドばかりなんです。
僕らの場合はどちらかというと、一生活者としての視点が起点になっていますけど、やっぱり世の中のビジネスって、「お困りごと」スタートですよね。
言葉より、シーンで語る。
THE CAMPUSとPASS THE BATON MARKET
野崎:PASS THE BATON MARKETはこの4月で11回目を迎えますが、そのうち8回は、コクヨさんのオフィスであるTHE CAMPUSで開催させてもらって、共催としてご参加いただいてきました。もともとは、ここができる前、黒田さんに「どこかいい場所、空いてません?」ってラフに聞いたのがきっかけでしたね(笑)。
黒田:振り返ってみると、そうでしたね。
野崎:そうです、そうです。ここ品川って、僕らから見ると日本の企業の中心的な場所に見えるんですが、それでいてオフィス立地ゆえ、ライフスタイル的文脈があるかと問われると、ホワイトキャンバス的でまだまだ未成熟と言えます。以前も話しましたが、文化とか街の空気を、むしろここから起こしていくような場所だなと思ったんです。PASS THE BATON としても、2009年に始まって個人と個人をつなぐ存在だった僕たちが、企業と個人をつなぐ存在になっていくタイミングでした。当時のテーマ「日本の倉庫を空っぽにしよう」って、企業が新たなアクションを起こしていくための機会だった。だからこそ、「品川」というビジネスの中心地で、リアルに使われている「オフィス」で、マーケットを開催することがとても必然に思えました。

黒田:僕はね、PASS THE BATON MARKETに来るたびに、「未来だな!」って思うんです。オフィスっていうある種閉ざされた場所へ、休みの日なのに、様々な目的を持った人たちがあんなに集まってくる。PASS THE BATONなんで、やっぱり単なるビジネスじゃなくて、コミュニケーションを大前提としていますよね。ものの背景がしっかり伝わっていく。来場される方も、自分の意思を持って、体験してくれている唯一無二のイベント。こんなイベントは他にないと思います。
野崎:ありがとうございます。僕らからすると、「冷静に考えて、ここってオフィスなんだっけ?」って思うことが多々あります(笑)。新時代のオフィス。“街に開かれたオフィス”というアイディアを持っている企業はたくさんあるし、物理的にそういう作り方をしている企業も増えていますが、言葉で書くことはできても、眼前でそのシーンが実現しているケースって決して多くないと思います。
黒田:僕たちは今、会社を本気で変えようとしている真っ最中で、THE CAMPUSは、そのための装置です。「コクヨってどんな会社?」を体現して、来社された方に「こんな会社になりたい」って感じてもらいたい。「風通しのいい会社」「挑戦が大事」って、言葉で言うのは簡単なんです。
だけど、実現は本当に難しい。PASS THE BATON MARKETはその「実現の実例」になってくれていて、THE CAMPUSで開催していることが、もはや「コクヨらしさ」になってきています。
編集部からのコメントが入ります
編集部からのコメントが入ります
編集部からのコメントが入ります